医療保険はいらない?
医療保険は
いらないって本当?
高額療養費で足りる人・
足りない人の分かれ目
公開:2026年9月29日 更新:2026年10月22日 書いた人:とも(運営者情報)
この記事でわかること
- 医療保険がいらないと言われる理由と、公的医療保険でカバーされる範囲
- 高額療養費制度を使った場合の自己負担額
- 入院や治療で、公的保障だけでは補えないお金
- 医療保険を続けるか、見直すかを考えるポイント
「医療保険はいらない」という話を、SNSやインターネットで見かけることがあります。
日本には健康保険があり、医療費が高くなっても、高額療養費制度を使えば自己負担を抑えられます。
それなら、毎月保険料を払ってまで、民間の医療保険に入る必要はないのでしょうか。
独身のころから何となく続けている医療保険や、勧められて加入したままの保険。毎月の支払いを見て、「本当に必要なのかな」と思うこともあるかもしれません。
確かに、公的な制度と貯蓄で十分に対応できる人もいるでしょう。
一方で、病気やケガで仕事を休んだときの収入や、入院に伴う出費が心配な人もいます。
医療保険が必要かどうかは、病気になったときに自分で負担するお金と、使える貯蓄、働けない間の収入を合わせて考えることが大切です。
この記事では、公的な制度の仕組みを確認しながら、今の医療保険を続けるか、見直すかを考えていきます。
「医療保険はいらない」と言われる3つの理由
医療保険が不要だと言われる背景には、日本の公的医療保険制度があります。
まずは、その仕組みを確認してみましょう。
1. 医療費の全額を自分で払うわけではない
日本では、原則としてすべての人が何らかの公的医療保険に加入しています。
会社員などが加入する健康保険や、自営業者などが加入する国民健康保険がその代表です。
医療機関で保険診療を受けた場合、義務教育就学後から70歳未満の人は、原則として医療費の3割を自己負担します1。
例えば、保険診療の医療費が10万円だった場合、窓口で支払う金額は原則3万円です。
2. 高額療養費制度で自己負担を抑えられる
病気やケガで高額な治療を受けた場合でも、医療費を際限なく支払うわけではありません。
日本には、高額療養費制度があります。
保険診療の自己負担額が、年齢や所得などに応じた月ごとの上限を超えた場合、その超えた分が支給される制度です2。
2026年8月からは制度が見直され、年間の自己負担にも上限が設けられました2。
3. 医療費を貯蓄から支払う方法もある
病気やケガに備える方法は、民間の医療保険だけではありません。
十分な貯蓄があれば、入院や治療に必要なお金をそこから支払うこともできます。
毎月の医療保険料を払い続ける代わりに、その分を貯蓄に回すという考え方もあります。
ただし、貯蓄があっても、住宅ローンや教育費など、ほかに使う予定のお金かもしれません。
また、医療費以外の出費や、働けないことによる収入減も考える必要があります。
公的な制度があるから医療保険はいらない、と一律には判断できないのです。
高額療養費制度を使うと、自己負担はいくらになる?
医療保険の必要性を考えるうえで、知っておきたいのが高額療養費制度です。
例えば、70歳未満で、標準報酬月額が28万〜50万円の会社員が、保険診療で100万円の医療費がかかる治療を受けたとします。
通常の3割負担なら、窓口で支払う金額は30万円です。
しかし、2026年8月からの高額療養費制度を適用すると、この例では自己負担額は92,940円になります3。
医療費100万円の場合の例
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 保険診療の医療費総額 | 1,000,000円 |
| 通常の3割負担 | 300,000円 |
| 高額療養費制度による給付相当額 | 207,060円 |
| 最終的な自己負担 | 92,940円 |
※70歳未満・標準報酬月額28万〜50万円・2026年8月から2027年7月までの制度による例です。対象外の費用は含みません。

自己負担の上限は、年齢や所得によって違う
高額療養費制度の上限額は、誰でも同じではありません。
会社員などが加入する協会けんぽの場合、2026年8月から2027年7月までの70歳未満の主な区分は次のとおりです3。
| 標準報酬月額 | ひと月の自己負担上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 83万円以上 | 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% | 168万円 |
| 53万〜79万円 | 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% | 111万円 |
| 28万〜50万円 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | 53万円 |
| 26万円以下 | 61,500円 | 53万円※ |
| 住民税非課税 | 36,900円 | 29万円 |
※標準報酬月額15万円以下の人には、所定の条件で年間上限41万円が適用される仕組みがあります。多数回該当などによって、月ごとの上限額が変わる場合もあります。
標準報酬月額は、基本給だけでなく残業手当や通勤手当なども含めた給与をもとに決まる金額です。
自分がどの区分に当てはまるかは、加入している健康保険や勤務先などで確認できます。
国民健康保険の場合は、世帯の所得などによって区分が決まるため、市区町村などの加入先で確認しましょう。
長期間治療が続く場合の負担軽減もある
高額療養費制度には、直近12か月に高額療養費の対象となった月が3か月以上ある場合、4か月目から自己負担の上限が下がる「多数回該当」という仕組みがあります2。
さらに、2026年8月からは年間上限も新設されました。
年間上限は8月から翌年7月までの12か月を対象とし、長期間治療を続ける人などの負担を抑える役割があります2。
ただし、すべての医療費が対象になるわけではありません。
マイナ保険証で、窓口の支払いを抑えられる
マイナ保険証を利用し、医療機関で必要な資格情報の確認ができれば、原則として保険診療分の窓口負担を月ごとの自己負担限度額までに抑えられます4。
従来のように、いったん多額の医療費を立て替えて、後から払い戻しを受ける負担を軽くできます。
ただし、複数の医療機関を利用した場合の合算や、年間上限による払い戻しなど、別途手続きが必要になる場合もあります。
高額療養費制度があっても、自己負担は残る
公的な医療保険が充実しているとはいえ、入院や治療に伴う費用をすべてカバーできるわけではありません。
生命保険文化センターの2025年度調査によると、直近の入院時に自己負担した費用の総額は、平均18.7万円でした5。
この金額には、高額療養費制度を利用した場合の制度適用後の自己負担に加えて、食事代や差額ベッド代、交通費、日用品なども含まれています。
ただし、これは過去5年間に入院し、自己負担費用を支払った人の調査結果です。すべての入院で18.7万円かかるという意味ではありません。
高額療養費の対象にならない費用
例えば、次のような費用は高額療養費制度の対象外です。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 入院中の食事代 | 入院中の食事にかかる自己負担 |
| 差額ベッド代 | 希望して個室などを利用した場合の追加料金 |
| 先進医療の技術料 | 所定の先進医療にかかる技術料7 |
| 交通費や日用品 | 通院・入院に伴う移動費や生活用品など |
入院が長くなったり、治療が何か月にもわたったりすると、支出が重なる場合もあります。
また、入院だけでなく、通院で治療を続けるケースもあります。
医療保険を考えるときは、入院費用だけでなく、治療が続く間の暮らしも想像してみたいところです。
医療費だけでなく、働けない間の生活費も考える
病気やケガで心配なのは、医療費だけではありません。
仕事を休むことで収入が減る場合もあります。
生命保険文化センターの2025年度調査では、直近の入院で収入が減った人は18.3%で、減少した人の逸失収入の平均は27.3万円でした6。
もちろん、入院しても収入が減らない人もいますし、長期間働けなくなる場合もあります。
収入が減ったときに利用できる制度は、働き方によって異なります。
会社員などには傷病手当金がある
会社員など、健康保険の被保険者として加入している人は、病気やケガで働けなくなったとき、一定の条件を満たすと傷病手当金を受け取れる場合があります8。
連続する3日間の待期期間を経て、4日目以降の休業について支給対象となり、支給期間は通算1年6か月です8。
支給額は、おおむね給与をもとに計算した日額の3分の2です。
ただし、給与の支払い状況などによって支給額が調整されたり、支給されなかったりする場合があります。
勤務先に独自の病気休暇制度などがある場合は、それも確認しておきましょう。
自営業の場合は、備え方が変わる
一方、自営業者などが加入する市区町村の国民健康保険では、会社員と同じ傷病手当金が一般的に用意されているわけではありません。
保険者によって独自の制度がある場合もありますが、原則として、自分が働けなくなったときの収入をどう確保するか考える必要があります。
私自身も自営業なので、ここは気になるところです。
仕事を休んでも、家賃や光熱費、毎月の生活費などがすべてなくなるわけではありません。
医療保険の入院給付金などが生活費の助けになる場合もありますが、長期間の収入減に備えるには、就業不能保険や貯蓄なども含めて別に考える必要があります。
治療にかかるお金と、働けない間の生活費。この二つは分けて確認することが大切です。
医療保険が必要かどうか、3つのことから考えてみる
ここまでの内容を踏まえて、自分の家計に置き換えてみましょう。
確認したいのは、次の3つです。
① 自分の医療費の上限はいくら?
まず、公的医療保険でどこまで負担を抑えられるかを確認します。
高額療養費制度の自己負担上限は、年齢や所得などによって異なります。
自分の区分を知っておくと、医療費への備えを考えやすくなります。
② 貯蓄から、いくら出せる?
次に、入院や治療が必要になったとき、貯蓄からどのくらい支払えるかを考えます。
ここで大切なのは、銀行口座の残高だけで判断しないことです。
住宅ローンの返済や子どもの教育費、毎月の生活費など、すでに使う予定のお金もあるでしょう。
急な医療費に使っても、家計に無理が出ない金額を考えてみます。
先ほど紹介した入院時の平均自己負担額18.7万円も参考になりますが、平均より多くかかる場合も少なく済む場合もあります。
③ 働けない間、収入はどうなる?
病気やケガで仕事を休んだ場合、どのくらい収入が減るのかも考えます。
会社員なら、傷病手当金や勤務先の休暇制度が使えるか。
自営業なら、仕事を休んでいる間の生活費をどのように確保するか。
共働きの場合は、一人が働けなくなっても、もう一人の収入で生活できるかも確認したいところです。
医療保険の必要性は、家庭によって違う
例えば、次のような違いがあります。
| 家計の状況 | 考えたいこと |
|---|---|
| 貯蓄がまだ少ない | 急な医療費をどう支払うか |
| 自営業で収入が不安定 | 働けない間の収入減にどう備えるか |
| 子育て中 | 治療費と生活費、教育費を両立できるか |
| 貯蓄に余裕がある | 公的保障と貯蓄でどこまで対応できるか |
| 勤務先の保障が充実している | 民間の医療保険で追加したい保障があるか |
同じ状況でも、必要だと感じる保障は人によって違います。
また、貯蓄が少ないからといって、必ず医療保険に加入するのがよいとも限りません。
毎月の保険料が負担になり、生活費や貯蓄に回すお金が足りなくなってしまう場合もあるからです。
公的保障で対応できる部分、貯蓄で備える部分、保険で補いたい部分を分けて考えることが、判断の手がかりになります。
今の医療保険をやめる前に、確認しておきたいこと
ここまで読んで、医療保険を見直したいと思った方もいるかもしれません。
ただし、今の契約をすぐに解約するのは慎重に考えたいところです。
保障の中身を確認する
まずは保険証券や保険会社のマイページで、次の内容を確認しましょう。
- 入院したときの給付金
- 手術を受けたときの保障
- 先進医療特約などの付帯保障
- 保障が続く期間
- 更新後の保険料
更新型の医療保険は、年齢などに応じて更新後の保険料が高くなる場合があります9。
やめたあと、同じ条件で入り直せるとは限らない
医療保険への加入には、通常、健康状態などについての告知が必要です10。
今の保険をやめたあと、病気が見つかったり、健康状態が変わったりすると、新しい保険に加入できない場合があります。
加入できても、保険料が高くなったり、一部の保障に条件がついたりすることも考えられます。
保険を乗り換える場合は、新しい契約が成立する前に、今の契約を解約しないよう注意しましょう10。
がん保険は、保障内容を分けて確認する
医療保険とがん保険の両方に加入している人もいると思います。
医療保険では入院や手術を広く保障する一方で、がん保険には、診断時の一時金や所定の治療に対する保障など、商品によって異なる特徴があります。
医療保険を見直す場合も、がん保険で何を備えているのかを確認しておきたいところです。
私の場合|身近な家族のがんが、保険を考えるきっかけに

私ががん保険に加入したきっかけには、家族の病気がありました。
叔母は60歳のときに膵臓がんで亡くなりました。祖母も大腸がんを患い、その後、乳がんや転移もあり、亡くなっています。
身近な家族ががんを経験していると、どうしても自分のこととして考えてしまいます。
「私も、がんになるリスクが高いのではないか」
そんな不安がありました。
以前、保険の相談窓口を利用したとき、夫は医療保険には入っていましたが、がん保険には加入していませんでした。
私自身も医療保険には入っていましたが、家族の病気を経験していたこともあり、がんへの備えが気になっていました。
そこで相談した結果、夫のがん保険を契約し、私もそれまでの医療保険にがん保険を追加しました。
当時は、がんへの不安が加入を決める大きな理由だったと思います。
もちろん、家族にがんを経験した人がいるからといって、必ず自分もがんになるわけではありません。がんの種類や血縁関係などによってもリスクは異なり、がん保険が必要かどうかも家族歴だけで決まるものではありません。
今振り返ると、がんになることへの不安だけでなく、公的な医療制度や、すでに入っている保険でどこまで備えられるのかも、もっと確認しておけばよかったと感じています。
私はこれまで、必要だと思って保険を増やし、後になって保障の重複や保険料の負担を見直してきました。
がんへの不安は今もあります。
ただ、不安があるからといって、保障を増やせば増やすほど安心できるとも限りません。
何が心配で、その心配に対してどんな備えが必要なのか。
自分がどのような理由で保険に加入したのかも振り返りながら、今の暮らしに合っているかを考えることが大切だと思っています。
自分だけで判断が難しいときは、相談する方法もある
高額療養費制度や今の医療保険について調べても、どのくらいの保障が必要なのか、判断に迷うことがあります。
公的保障と貯蓄で対応するのか。医療保険を続けるのか。保障を減らしたり、別の商品と比べたりするのか。
そんなときは、専門家に相談する方法もあります。
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医療保険だけでなく、生活費や貯蓄、働けない間の収入などを含めて考えたい場合は、家計相談に対応しているFPへの相談が選択肢になります。
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今の医療保険を、ほかの商品と比べたい方へ
今の医療保険やがん保険の保障内容を確認し、別の保険会社の商品と比較したい場合には、保険ショップへの相談も考えられます。
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よくある質問
貯金がいくらあれば、医療保険はいらない?
必要な貯蓄額は、家庭によって違います。
医療費の自己負担上限、入院時に必要な費用、働けない間の生活費を考え、どのくらいまで貯蓄で対応できるか確認しましょう。
入院費用の平均は18.7万円ですが、その金額だけを用意すれば十分というわけではありません5。
共働きなら、医療保険はいらない?
共働きでも、一人が働けなくなったときに、もう一人の収入で生活費を支えられるかによって違います。
また、夫婦それぞれの健康保険や勤務先の制度、貯蓄状況も確認しておきたいところです。
先進医療特約だけ残せる?
先進医療特約は、主契約の医療保険などに付加するタイプが一般的です。
特約だけを残せるかどうかは、契約によって異なるため、加入している保険会社に確認しましょう。
入院が決まったら、何を確認すればいい?
まずは、加入している健康保険で高額療養費制度をどのように利用できるか確認しましょう。
医療保険に加入している場合は、入院や手術が給付対象になるか、請求に必要な書類は何かを保険会社へ確認しておくと、退院後の手続きを進めやすくなります。
医療保険が必要かどうかは、今の家計から考える
医療保険は、誰にとっても必要というものではありません。
一方で、公的な医療保険制度があるからといって、誰にとっても不要というわけでもありません。
病気やケガをしたときに、どのくらいのお金が必要になるのか。
今の貯蓄から支払えるのか。働けなくなった場合、生活費はどうなるのか。
まずは、その3つを確認することから始めてみましょう。
また、保険に加入する理由は、お金の計算だけではないと思います。
私自身、身近な家族をがんで亡くした経験から、がんへの不安を感じてきました。
そうした気持ちも大切にしながら、何に備えたいのか、今の保障がその不安に合っているのかを考える。
医療保険を続けることも、見直すことも、どちらも選択肢の一つです。
周りの意見だけで決めるのではなく、自分たちの暮らしに合った備え方を選んでいきたいですね。
出典・参考資料
- 厚生労働省「医療費の自己負担」。公的医療保険の自己負担割合(2026年10月22日確認)。
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」。高額療養費制度と2026年8月からの制度見直し、多数回該当、年間上限(2026年10月20日確認)。
- 協会けんぽ「高額療養費」。所得区分別の上限額と年間上限、標準報酬月額15万円以下の年間上限41万円(2026年10月22日確認)。
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット」。マイナ保険証による限度額適用(2026年10月22日確認)。
- 生命保険文化センター「入院費用(自己負担額)はどれくらい?」。2025年度調査による入院時の自己負担額(2026年10月22日確認)。
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」。入院時の収入減など(2026年10月22日確認)。
- 厚生労働省「先進医療の概要について」。先進医療の費用負担(2026年10月22日確認)。
- 協会けんぽ「傷病手当金」。支給要件・支給額・支給期間(2026年10月22日確認)。
- 生命保険文化センター「契約の『更新』って何?」。更新型保険の仕組み(2026年10月22日確認)。
- 生命保険文化センター「生命保険の『見直し方法』と留意点」。乗り換えや解約時の注意点(2026年10月22日確認)。
※記事は一般向けの情報であり、個別の家計・保険・金融商品について助言するものではありません。掲載内容は確認時点のものです。